世界大会出場アスリート紹介

−ボーリング−
ふたりのハイタッチ。ダブリンでもぜひ見たい!中根晃君(29)・平田雅子さん(26)


▲中根 晃君


▲平田雅子さん
 芝浦の東京ポートボールで一緒に練習する中根君と平田さんを訪ねました。
 スピードのある力強いボールがピンに向かって一直線に転がり、勢いよくピンを跳ね上げます。「いいよ、その調子」。中根君がボーリングをはじめた8年前から教えている白岩洋子コーチが拍手で迎えます。
 次は平田さん。イチニ、サンシと足を運び、立ち止まって投じたボールは、ゆっくりと転がり、ピンの近くでガーターに。
 「投げるときは、手をこうして。肩は正面に向けてね」。コーチの言葉に耳を傾ける平田さん。ひとつ、ひとつうなずくように聞いています。
 白岩コーチは「中根君は一番進歩しない子の一人だった」と言います。ボーリングは一種の振り子運動で、決して力はいりません。しかし、中根君は軽いボールを力まかせに放り投げていました。身体にあった12.3ポンドの重さのボールより3.4ポンド軽いオレンジ色のボールが、お気に入りでした。
 ところが昨年夏のナショナルゲームをきっかけに、力まかせに投げるスタイルが変わりました。重いボールを使って投げたら、いいスコアが出たので、自信をつけたのです。
   いまの平均スコアは110点、よいときは130点ぐらい出るそうです。
 練習を重ね、ボーリングが上達してくるにしたがって中根君は大きく成長。「身勝手な行動が多かったのが、わがままがなくなり、穏やかでにこやかになった」と白岩コーチは喜んでいます。

 もう一人の派遣アスリート、平田さんはボーリングをはじめて1年。ボールを持たずに、4歩助走のアプローチの練習から初めました。ボールを持つようになって最初のうちは両手で投げていました。手と足のバランスも初めのうちは、なかなかうまくできませんでした。
 ワールドゲームの派遣アスリートに選ばれてから、練習に取り組む平田さんの姿勢が変わってきました。白岩コーチは「やる気になった。ワールドゲームがひとつの発展になっている」と目を細めます。
 コーチに手取り足取り教わりながら、小一時間ほど黙々と練習していた平田さんが投じたボールがピンに当たるようになってきました。ちょっぴり微笑んだ平田さんは、中根君と手で軽くハイタッチ。ダブリンでもきっとこんなシーンが何回も見られることでしょう。中根君のワールドゲーム参加は今回が2回目。平田さんは初参加で、「海外旅行も初めて」と教えてくれました。中根君、平田さん、いっぱい楽しんできてください。

−卓球−
「一生懸命練習して、一生懸命やることをやりたい」宮宏一郎君(28)
 宮君が、卓球をはじめたのは小学校3年生。「何か体を動かした方がいい」と卓球好きのお父さんが勧めたのでした。
 最初は「ポン」「ポン」と、声は出るもののラケットにボールはひとつも当たりません。空振りか、当たっても大きく外れてしまいます。それでもほぼ毎日、勤めから帰宅したお父さんと一緒に卓球場に通いました。
1週間後です。初めて1本返すことができ、その3日後に2本ラリーが続きました。お父さんに手ほどきを受けていた宮君が、卓球を本格的に教わるようになったのは中野・沼袋の卓球教室「ウイニング・ジュニア」に行くようになってからでした。中学校卒業まで通い、基本を習得しました。
しばらく卓球から離れ、5年ほど前から練習を再開していた宮君に一昨年の12月、大きな転機が訪れました。SON東京の卓球会場(高田馬場)での中西義治主任コーチ(現スポーツプログラム委員長)との出会いでした。



▲宮 宏一郎君
当時、宮君についたあだ名が「カベ」。フォアでもバックでも50本ぐらいは難なくラリーを続けることができましたが、ラケットを持つ腕を固め、ブロックして弾き返していたため、こう呼ばれていました。腕を振り抜くことができなかったのです。
「コーちゃん、敬礼のようにやってみてごらん」「敬礼、直れ」「そう、そのように腕を振って」
中西コーチの指導で宮君は、その日のうちに少し打てるようになりました。「できるはずがない」と思っていたお父さんは、もうびっくりでした。
「打たないけど負けない」と言われていた宮君の卓球が変わっていったのです。
いま、宮君は月曜日のSON東京の卓球プログラム以外にも週4日、卓球の練習をしています。自宅では天井から紐でボールをぶら下げてカット打ちの練習をするのが日課です。昨年8月のSONナショナルゲームで優勝候補に逆転勝ちして優勝。全国のアスリートやコーチから「1年前とを全然違う。こんなに変わるなんて!」と賞賛されました。
宮君はSONでの海外派遣は、今回のワールドゲーム参加が初めてです。
宮君はいつもこう言っているそうです。
「『勝て勝て』と言われるのは嫌なんです。絶対勝たなきゃ、というのはヤダ。一生懸命練習して、一生懸命やることをやりたい」

−バスケットボール−
ベテランからフレッシュマンまで。力をあわせて、がんばるぞ!
岡村 祐則君(22)・武田 和幸君(18)・羽鳥 浩章君(24)・秦 宏行君(15)・中村 信之君(21)・中谷 かずえさん(23)

 チーム競技のバスケットボールには、SON東京のアスリート6人のほかに宮城から4 人が参加します。3月1日と2日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで合同練習を行ったのに続き、4月21日から23日まで熊本、5月3日から5日まで千葉で合宿練習を行い、ダブリンに出発する予定です。
 ある日、練習をのぞいてみました。広い体育館での練習は、「イチニ、イチニ」の掛け声にのってランニングから始まります。次は左右の足を跳ねるようにして交差させながら、体育館の端から端まで走ります。続いて両手を大きく前後に振りながら、足のひざを曲げて高く上げ下げして走る練習。

 次は足を床に小刻みに踏みたたきながら走ります。「上半身の力を抜いて。ひざを曲げ腰を落とすようにして」と諏訪主任コーチ。
 まだ走る練習が続き、今度は横を向いて走ります。これは攻撃から守備に転じたときの練習だそうです。そして数本のダッシュを繰り返します。ここまで、ボールを使わずに走る練習がみっちり45分間でした。
 小休止のあとはボールを使って練習。身体の周りをボールを落とさずに回したり、股の間を前後にバウンドさせて何回もくぐらせたり、いずれもボールになじむための練習です。ドリブル、パス、シュートの練習と続いて、最後はチームに分かれて試合です。
 WG派遣組は赤いゼッケン。チームの中で紅一点の中谷さんが、相手のバスをカット、ドリブルで一気にゴール下に駆け込み、シュート。日本チームは男子チームとしての競技参加ですが、ルールで女子は男子チームに入ることができます。しかし、その逆の男子が女子チームに入ることはできません。
 みんなきびきびしています。運動神経抜群の岡村君は8年前の中学2年からバスケットをやっています。他方、派遣アスリート中、最年少の秦君は2年前までは全くバスケットの経験がありませんでした。
 諏訪コーチは「秦君はおとなしくて引っ込み思案でしたが、練習を一生懸命やっていくうちに大変積極的になりました」と言います。
 事前に提出したチームアセスメントによりグループ分けされて行われる予選から、WGではほぼ毎日、試合をすることになります。派遣アスリートのみなさん、ケガをしないように元気でWGを楽しんできてください。







岡村 祐則君
武田 和幸君
羽鳥 浩章君
秦 宏行君
中村 信之君
中谷 かずえさん


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